貸倒の仕訳について

 

今回は簿記3級の一項目である「貸倒」について書きます。

よく黒字なのに倒産とか耳にするかと思いますが、関連することなので知っておいた方がいいでしょう。 

1.貸倒とは?

そもそも貸倒とはどういった概念でしょうか?

ネットで検索してみると、

売掛金や貸付金などの債権が、倒産などの理由で回収できず損失となること。またはその損失の金額のことを指す。」

とあります。これはwikipediaの説明です。会計に精通している人はわかるんでしょうが、私のような小難しい言葉が並ぶと脳が拒否反応する方には少しとっつきにくいかと思います。

 

簡単に言うと、

「もらえるはずだったお金が、取引先が倒産したせいでもらえなくなってしまったこと」を貸倒と言います。

B to C(企業対個人消費者)の取引ならば、物を買ったらその場でお金を支払いますが、B to B(企業対企業)の場合は物を買ってから支払うまでに期間があります。

通常、企業間の取引では取引先ごとに支払いルールが設けられています。

支払いのルールとは「15日締 当月末支払い」と言った締日と支払日が決められているようなものです。同じ取引先と1カ月の間に何度も取引をする場合、その都度お金を支払うとなると手間なので、締日までに発生した取引金額をまとめて支払日に払う、といったように1度で済むように効率化されているのです。(注意:企業によっては都度支払いの場合もあります。)

 そのため、物を売ってからお金が入ってくるまでの間に取引先が倒産してしまうとお金がもらえなくなり、「貸倒」となります。

2.貸倒の会計処理

 

貸倒の会計処理とは、取引先の倒産リスクを見込んで予め貸倒されるであろう金額を財務諸表に反映させておくことを指します。

 

それでは、貸倒の仕訳が財務諸表にどう反映されるのか見ていきましょう!!!

 

3.貸倒引当金の仕訳①

1.取引先Xが倒産するうわさを聞いたため、売掛金残高の10%を貸倒引当金として準備することにした。

※このとき、売掛金残高は5,000,000円あるとする。

 

企業が持っている売掛金の一部が貸倒されるかもしれないため、次のような仕訳をします。

 

1.貸倒引当繰入 500,000 / 貸倒引当金 500,000

 

この仕訳を見たとき、「え?売掛金が減るかもしれないんだから、貸方は売掛金なのでは?」と思われる方がいるかもしれません。※私も思っていました。

ですが、売掛金ではなく貸倒引当金という資産科目で仕訳を起こします。

実際はまだ貸し倒れていないため、売掛金ではないのです。

 

このとき、貸借対照表損益計算書は次のようになります。

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貸倒引当金は資産科目、貸倒繰入金は費用科目ですので、貸借対処表と損益計算書にそれぞれ計上されます。

 

続いて、実際取引先が倒産した場合の仕訳を見ていきましょう。

 

4.貸倒引当金の仕訳②

1.取引先Xが倒産するうわさを聞いたため、売掛金残高の10%を貸倒引当金として準備することにした。

※このとき、売掛金残高は5,000,000円あるとする。

2.取引先Xが倒産したため、売掛金の一部である300,000円が貸し倒れた。

 

予め見積もっていた損失が実際に起こった際、次の仕訳をします。

 

1.貸倒引当繰入 500,000 / 貸倒引当金 500,000

2.貸倒引当金  300,000 / 売掛金   300,000

 

このとき貸借対照表損益計算書

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となります。1の仕訳で予め損益計算書に倒産リスクを盛り込んでおき、盛り込んだリスクを実際の貸倒額と相殺するようなイメージです。

続いて、見込んでいた損失よりも大きいケースの例を見ていきます。

 

4.貸倒損失の仕訳

1.取引先Xが倒産するうわさを聞いたため、売掛金残高の10%を貸倒引当金として準備することにした。

※このとき、売掛金残高は5,000,000円あるとする。

2.取引先Xが倒産したため、売掛金の一部である600,000円が貸し倒れた。

 

予め見積もっていた損失よりも大きな損失が実際に起こった際、次の仕訳をします。

 

1.貸倒引当繰入 500,000 / 貸倒引当金 500,000

2.貸倒引当金  500,000 / 売掛金   600,000

  貸倒損失   100,000

 

貸倒損失という科目を使って不足分の100,000を仕訳します。

このときの財務諸表と損益計算賞は次の通りです。

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貸倒引当金が全額なくなり、そして売掛金が600,000減ります。

また、超過分の貸倒損失は場合によりますが、特別損失として計上しています。

 

5.貸倒引当金戻入の仕訳

「貸倒引当金戻入」は「かしだおれひきあてきんもどしいれ」と読みます。

これは予め見込んでおいたリスクが思ったより少なかった場合に、貸倒引当金をもとに戻す処理のイメージになります。

 

1.取引先Xが倒産するうわさを聞いたため、売掛金残高の10%を貸倒引当金として準備することにした。

※このとき、売掛金残高は5,000,000円あるとする。

2.取引先Xが倒産したため、売掛金の一部である300,000円が貸し倒れた。

3.取引先の倒産リスクが少なくなったため、売掛金残高の1%を貸倒引当金として準備しなおすことにした。

※このとき、売掛金残高は4,700,000円あるとする。

 

1.貸倒引当繰入 500,000 / 貸倒引当金  500,000

2.貸倒引当金  300,000 / 売掛金    300,000

3.貸倒引当金  153,000 / 貸倒引当戻入 153,000

※153,000=200,000 - 47,000(貸倒引当金残高ー売掛金残高×0.01)です。

 

貸借対照表損益計算書は・・・・

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 となります。

 

6.貸倒関連の科目について

今回は貸倒繰入金、貸倒引当金戻入を一般管理費、貸倒損失を特別損失として処理していますが、取引内容やその額によっては別の科目区分で表示することもあるそうです。

詳しくは下記URLをご参考ください。

 

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/sme17-2.pdf

中小企業の会計に関する指針(平成 24 年版)

 

7.まとめ

いかがでしょうか?

仕訳だけではいまいちわかりにくいかもしれませんが、財務諸表にどう反映されるのかまで理解すると、少しは覚えやすくなるかと思います。

今回の記事でみなさんの理解度が深まれば幸いです。